ステージでは二人組みバンドが「イムジン川」を歌っていた。

身体がベタベタなので近くの川に行き素っ裸になって身体を洗った。なにしろ街灯が全く無いのでキャンプファイヤーと会場の一人一人が持っているランタン以外に明かりが無いので普通の人には全く見えない。
それでもしばらくすると暗闇に目が慣れてくる。
ところがそこに数人の集団が川を渡って行った。足元がよく見えないらしくザバザバと靴ごと川に入って渡っていく。
目が見えていれば石の上を渡って全く濡れずに行ける筈だが。
よく見ると川の向こう側にいくつかのテントが見える。
川向こうはテントは禁止のはずだが。彼らはわかっているのだろうか?
もしもここで熊が出れば、まず襲われるのは集団から離れた川向こうの彼らのテントだと思うが。
川から上がるとき誰かの明かりに照らされた。
そのときは気付かなかったが、どうやら僕が明かりを持っていないことに気付き足元を照らしてくれたらしい。
僕は正直見えていたが、彼（逆光で見えなかったが)の心遣いはありがたい。
捨てたもんじゃない。

だが、その夜、結局僕の歌う場は無かった。その後ステージの明かりが消えて会場の各店舗が各自自由に歌い始めていてそのひとつにオルガン弾きの姿を見つけたが彼は演奏に夢中で僕には気付かなかったようだ。深夜0時過ぎ、やむおえず祭りを後にした。またもや昨夜のバス停で泊まることになった。



15日昼へ 16日へ 地図へ