仙台を抜けてさらに北へ行ったころには日も傾いていた。
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盛岡が近づいてきたころ、暗い大通り国道沿いの闇の中で
一箇所だけ奇妙なネオンが輝いていた。
引き返して確認して見るとそれは道路工事に使う電光掲示板が雑多に置いてあったのだった。
工事事務所のお茶目か、電光掲示板のレンタル業者の宣伝か。
さて。盛岡を抜けたところに
「石鳥谷（エイドリヤ〜ンと読む。ウソです。いしどりやです。）」
というところがある。
石鳥谷の「道の駅」で夜明かしすることにした私は
建物の横にバイクを停めて眠れる場所と安全性を確認した後
最低限必要な荷物を降ろしてトイレに入った。
綺麗なトイレだったが、男子便所の二つある「大」の個室のひとつは吐いたあとがあって汚物まみれであった。
しかたなく汚れた和式便器の隣の洋式便器の個室に入った。
大きな国道沿いの道の駅は夜でも運送屋や長距離トラックの運転手で常時ひとの出入りがある。
が。
私が入った個室のドアの外・・・
静かになった男子トイレの少し向こうにずっと人の気配があった。
察するに便所の隣の手洗い場当たりのように思われた。
人の声は無い。
足音や衣服のすれる音も無い。
しかし、何かがいる。
足音を忍ばせた野犬のような存在感に思えた。
トイレでの個室でも
足元には数センチの隙間があり、外に人が来ると影が見えたりするが、
それもない。
だが、何の音もしないまま、何かがどさっと置かれるような音が聞こえた。
音の遠さからして洗い場当たりではあるまいか。
何かおかしいとは思ったが、用はすんだので個室を出た。
個室を出て左を向くとそこに洗面台が4つ並んでいるのだが・・・
手を出すと自動的に水が出るセンサー付きの水道だ。
その誰もいない洗面台から「ガチッ」と音がして、右からふたつめの蛇口から水が勢い良く流れた。
あたりには誰もいない。
私は多少驚きはしたが、至って冷静。
「・・・何かいる？」
もっとも何かいたとしても何も見えやしないだろうが。
そのまま蛇口を見つめたままトイレから洗い場に移動すると
壁に貼り紙があった。
ふん・・・霊能者とかなら
「来ていますね・・・あなたに助けを求めているようです・・・」とか言うのだろうが、
生憎、私は霊能者ではないし、助けることもできん。
生きているうちに偶然迷っている所や拉致の真っ最中に出くわしたなら
助けに入ってあげられるかも知れんが・・・。
とりあえず害はなさそうだ。ギターを横に眠りに着く。
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7日朝、7時過ぎに起きて東京のアパートから持ち出した煎餅を食べてトイレに行く。
昨夜のことを思い出して携帯電話で写真を撮った。 - 上の画像は夜が明けてからのものだ。
さて、行こうか！今夜は函館で歌う予定だ！
6日昼へ
7日・本州東北編へ
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